こんにちは、えひめフィルム・コミッションの泉谷です。
6月26日に兵庫県神戸市で行われたNPO法人ジャパン・フィルムコミッション通常総会にて、2019年から3期6年務めた理事長職を小室裕一新理事長へバトンタッチしました。そして本日から新体制がスタートです。
初代理事長の寺脇研サンから、2代目理事長の田中まこサンへ引き継がれ、3代目理事長として過ごした日々を振り返ると色々なことがありました。
コロナ禍で世界中で撮影が止まった中で、「撮影支援ガイドラインの作成」が始まりました。
これは、コロナ禍でもどうすれば撮影ができるか?を目的に作成した内容で、アメリカなどの事例も参考にして、衛生班の設置、保健師の帯同、マスク着用、ワクチン接種証明書の提示、ケータリングの中止、個包装のロケ弁提供、換気の徹底、車両に乗車する人数の制限、ホテルのシングル利用など、状況に応じて細かく設定し、チェックリストを作り各FCと共有しました。
この時ほど、ネットワークを組んでいて良かった・・・と思ったことはありませんでした。
撮影トラブルに巻き込まれたFCのフォローアップに、顧問弁護士と大手制作会社へ赴いたこともありました。
99%の制作者は協力的ですが、1%は信用できない悪い制作会社がいるのはどこの業界でも同じでしょう。
このような場合、一つのFCでは対処できない場合も多く、やはりネットワーク化された全国組織であるジャパンFCとしての発言と行動は、改善策などの提示など、影響を与えました。
6年間の理事長在任中でジャパンFCへの加盟会員も増えました。
フィルム・コミッションの認知度も上がったと思います、2020年の日本批評家大賞では特別賞もいただけました。
そのような点では多くの協力を得て、成果を出せたと思っていますが、心置きなく小室新理事長へバトンタッチ・・・と言いにくいのは、任期中にできなかったこともあったからです。
(1)財政問題
ジャパンFCは会費収入が基本です。会費収入は会員の数と比例しており、年間1500万円程度です。
その他は事業受託、自主事業です。
NPO法人の資金調達は「寄付、会費、自主事業、委託(受託)、助成/補助」しかない中で、事業受託に占める割合が80%以上です。外部からの受託は「大口だが(受託できるかは)不安定」という性質があり、「小口だが安定収入」が見込める寄付、会費、自主事業の比率を高めることが必要です。
ここまでは分かっているのですが、何度も検討、挑戦したものの確立できませんでした。
どうしてもイニシャルコストなどがかり、こういう時は助成金を活用して自走する・・・というのも分かっているのですが、難しいです。
(2)事業規模問題
ジャパンFCの影響力は、数字/数値ではまだ大きなインパクトを生み出せていませんが、表彰や共催、協力などの機会も多くなり、黎明期に比べると事業規模は10倍以上になりました。
成長という言葉がふさわしく、声をかけられる、受託できることは社会的信頼も増していますが、事業(範囲)が膨張しており、限られたスタッフではいづれ手が回らなくなるのが見えています。
かつ、事業受託の場合、人件費の計上額には限度があります。
「横」に広がる事業に優先順位をつけて「縦」にし、選択と集中をする段階にさしかかったと思います。
6年間の振り返りを行いました。
ジャパンFCの前身である「協議会」の設立から知っている立場として、24年かけてここまで辿り着きました。
フィルム・コミッションは撮影に益々欠かせない存在になりました。
今後も発展してゆく中で、課題を一つ一つ改善/解決してほしいと、次の体制に願っています。