こんにちは、えひめフィルム・コミッションの泉谷です。
今年は上半期だけで既に100億円以上の興行収入を記録した邦画が3本もあります。*興収額は9月時点
【1位】鬼滅の刃-無限場編第一章-(314億円)
【2位】劇場版 名探偵コナン-隻眼の残像-(146億円)
【3位】国宝(133億円)
これまでは、100億円以上の興行収入を記録した邦画は、その年の第一位は間違いなし!と思われていました(実際に100億円に届かなくとも第1位になった年もありました。)
異変が起きたのは2022年(令和4年)です。
この年は、邦画の劇場公開作品史上、上位3作品が100億円を超えました。
また、上位3作品はアニメ作品というのも、日本のアニメは強い!という印象を確立しました。
【1位】ONE PIECE FILM RED(197億円)
【2位】劇場版 呪術廻戦 0(138億円)
【3位】すずめの戸締まり(131億円)
すると、翌年の2023年も100億円以上の作品が1位、2位となりました。
【1位】THE FIRST SLAM DUNK(158億円)
【2位】名探偵コナン 黒鉄の魚影(138億円)
そして昨年の2024年も100億円以上の作品が1位、2位となりました。
【1位】名探偵コナン 100万ドルの五稜星(158億円
【2位】劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦(116億円)
2022年以降、4年連続で邦画の興行収入が100億円以上の作品が複数あり、100億円以上の興行収入だったら、その年の1位というこれまでの定説を覆しました。
すると(どうして、こうなったのかな?)と思いませんか?
「映画の見方が変わったかもしれない。」が、私の仮説です。
ことの始まりは「コロナ禍の影響」があると思います。
映画館へ行けない日々が続き、映画館での鑑賞が特別な体験となり、そんな特別な機会は大作&話題作の鑑賞と合致したのではないでしょうか?
また、100億円以上の興行収入作品にはアニメ作品が多いのは、少子化と言われている昨今ですが、アニメで育ってきた人が大人になったこと、アニメ作品も大人、海外ファンが観ても満足な品質と物語になっているからではないでしょうか?
そして、SNS時代の口コミも加勢していると思います。
観に行った人の熱量が可視化され、共感が広くシェアされたり、「布教」とも揶揄されるリピーターからの発信、推し活も相まって新規鑑賞者を巻き込んでいるかもしれません。
その他、コロナ禍で配信が普及したことで「家で観る作品」「劇場で大スクリーン、大音響で観る作品」を分ける傾向が確立したこともあるかもしれません。
その中で実写で22年ぶりに実写で100億円を超えた「国宝」は特記すべき作品です。
この作品は「館賞した人の熱量がSNS時代の口コミ」となり爆発的なヒットを生み出した。と言えるでしょう。
映画の本質は変わりませんが、映画の見方が変わった過渡期を私たちは目の当たりにしているのかもしれません。