3月21日から8週間、NHKBSで放送されたプレミアムドラマ「グレースの履歴」の最終回が5月7日にありました。全8話の物語の7話目と8話目の舞台は愛媛県でした(第3話などにも愛媛県が映っていたりしました。)。
放送に合わせてご覧になった方、偶然にご覧になった方など多くの方がご覧になったと思います。「松山城が映ってた!」「あれは鷲ヶ巣海岸?」「石手川緑地公園が映ってた。」「二番町が映ってた。」など反響の大きさを嬉しく思います。
私がこの作品で特に印象的だったのが「釣島」での撮影でした。釣島は松山沖約5kmに浮かぶ周囲約2.6kmの島です。島にはシンボルとも言える「釣島灯台(愛媛県で最初の西洋式灯台)」があり、松山市の有形文化財に指定されています。
普段は高浜港や三津港から定期船で往来ができますが撮影時間とのタイミングが合わず、撮影時は興居島から漁船を借りて往来しました。実は島の撮影は撮影隊からすると「不確定要素(風や波などで欠航などが多い)が多い」ため、敬遠されることが多いのですが、今回は源監督からの要望もありプロデューサーとロケハンで赴き、イメージを抑え、監督の演出プランと照らし合わせた結果、撮影決定となりました。
撮影時間は夕方でした。撮影のセッティングが終わり、あとは夕陽などのタイミングになりました。島は静かで眼下に広がる瀬戸内海には釣島から出港した定期便の姿が見えました。
夕陽が濃くなった所で撮影開始、どんどん撮影は進んでいきます。そうしないと夕陽は撮影を待ってくれないからです。シーンに合わせて目まぐるしく動くスタッフ、そして見守る私たちと島民の方々。
撮影が終わる頃は夕陽が水平線に沈む直前でした。撮影スタッフから「すごいキレイ!」と感嘆の声が出ると「そうじゃろ、ココはこれが自慢だからな」と得意げに言っていたのが印象的でした。他のスタッフも日本全国で撮影を行い、キレイな夕陽は散々見てきているはずなのに写真に収めていたということは釣島の夕陽は自慢できる眺めということでしょう。
機材など撤収時に撮影部が「あっ!ここ撮っておこう!」と三脚やカメラを急にセッティングして沈む夕陽を実景撮影していたのがハイライト。
興居島へ戻る船が出港する頃は既に暗く、今度は月明かりが海面を照らします。手を伸ばせば海面に触れられる近さと迫力にスタッフは「アトラクションのようだ!」と大喜び。
「愛媛での撮影をまた、お待ちしています!」と次の作品がいつ、愛媛で撮影されるか分かりませんが、こうして一期一会の出会いは終わり、撮影隊と別れたのでした。
なかなか行くことのない釣島。フィルム・コミッションだから行けたという役得感のある撮影でした。